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2025/06/19(Thu)16:46
日記とかつぶやきとかこだわり話とか~
2025/06/19(Thu)16:46
2020/05/09(Sat)12:10
さらに続きですよ~~~~
↓
だから雅紀にそう言った。
「雅紀、俺すごいよくしてもらって
今までずっとなんか、
お礼とかっていうよりずっと滞在させてもらっちまってあれなんだけど
村に帰んなきゃいけなくって。
だから・・・
今まで世話になったっつーか」
「え・・・・智、帰っちゃうの?
ずっと・・・ずっといてよ、ねぇ
ずっともう、ここで一緒に暮らそうよ
俺じゃ、だめ、なの?」
「あ・・・いや
雅紀がどうのってぇんじゃないんだ
俺、あっちに家族いるし、
その・・・・恋人、も、いる、し
みんな、その、待ってると思うんだ、俺のこと
いろいろ、仕事っつぅか
あれこれたまっちまってると思うし
家族のめんどうもみねぇわけにはいかねぇじゃんか」
「そっか・・・・
俺がどう言ったってもう・・・智、決めちゃってんだね
・・・・・
わかった!
俺、納得する!智が言うことは俺、受け止めるから」
「お、おう
・・・・な、泣くなよ雅紀」
「ん・・・・だって・・・・楽しかったから
こんなに楽しかったのって俺、初めてだったから」
「・・・・俺も、楽しかったよ、雅紀といれて」
「ね、もう、じゃ、すぐ帰っちゃう感じ?」
「うん。またあの浜まで連れてってくれるか?
悪ぃけど」
「おっけーいいよわかった
そりゃ人間には無理だもの。泳いであそこまでってさ
ちょっと待ってて。お土産、ていうんじゃないんだけど
渡したいものがあって」
「いやもう、俺、十分いろいろしてもらったから」
「待ってて!」
ぐしゃぐしゃに泣いた顔で笑って雅紀はどこかに行った。
どんくらいいたのかな、ここに。
1週間くらいか?
いや、もっといたかもしんねぇな
収穫とか、間に合うかな
ていうか翔君、まだいるよな?
おいらがいない間にってこと、ないよな
「おまたせ~智~
これこれ、これね、智がここに来たときに持ってたものだよ
服と釣り竿
それから
これ」
「ん?・・・・ハコ?きれいだな」
「ふふっでしょ?きれいでしょ?
これはこっちの世界のすっごい大事なものなの
これがあればね、また智がここに来たいって思った時のためのものなんだ。
だからね
これは箱だけど、絶対に開けちゃダメだからね?ね?いい、わかった?
ただ、持ってて!」
「あ、ああ・・・・さんきゅ」
「あ~~~~~~お別れかぁ~~~~
寂しくなるなぁ~~~~
も~~~~~~俺どうしよう?
智いままでありがとね!それから元気でねっ!」
「それはこっちの台詞だよぉ~
雅紀ありがとう~」
それで、俺はまた来たときと同じように
雅紀の背中に乗って、あ、
雅紀がまた亀になってその背中にのっかって
それで俺の村に帰ってった。。。。。。
4.たまてばこ
ーーーーーーーーーーーーーーーー
智君へ
ギリギリまで待ってみたのだけど
もう行くね
いつ帰れるかわからない
どうか元気で
ちゃんと会って話たかった
翔
ーーーーーーーーーーーーーーーー
俺が、竜宮城から戻ったら、何もかもが変わってしまってた。
翔君がいなくなっちまってた。
おいらが住んでた家に、手紙がぽつん、てあるだけで。
誰も、いなくなっちまってた。
村も、もう誰もおいらのことがわかるやつがいなくて、
おいらは新参者ていうか、
ほんとに誰も俺のこと、わかんなかったから、
俺はみんなにとって素性のわからない人間だった。
おいらは翔君がいなくなっちまってたことが悲しくて、
村で誰も知ってるやつがいないことが悲しくて、
苦しくて、つらくって
ひとりぼっちで。
取り返しの付かないこと、しちまったって思いがぐるぐるして、
つらくって・・忘れることができるんならむしろ忘れてしましたいくらい
ひとりぼっちで。
彼の声が浮かんでも、あの優しかった手を思い出しても。
この手はただの俺の手で
だれとも重なることがないんだよ。
ひとりぼっちなんだ。
こんなに、俺にとって大事なものだったなんて。
失って初めて、わかったんだ。
かけがえのない、幸せだったんだって。
おいらの手元にひとつだけ残った、玉手箱
なんにも、誰もいなくなったこの家でひとつだけあるもの。
きれいなきれいな玉手箱。
俺は涙を流しながら何度も撫でて過ごしたけど
ひとりぼっちだったから
俺しか、いない・・・・・てことに耐えられなくて、
だから
とうとう
開けちまった。
開けるなって言われてたのに開けちまった。
今ならわかる。
あれはほんとに開けちゃダメなやつだったんだって。
あれは、
雅紀とふたたび会うために、必要なもんだったんだって。
でもそれも
開けちまったらもう、叶わなくなってしまうものなんだって。
俺は
ただ、竜宮城が楽しかったからいたかった。
でも、翔君や家族のことを思い出したから帰ってきた。
楽しかったんならもう、そこにいりゃよかったのに
帰ってきた。
けど、
竜宮城と陸とは時間の進みが違ったらしくて
帰ったらもう、おいらのことをわかるやつは誰もいなくなってた。
おいらは悲しくてつらくって助けを求めるみたいに玉手箱を開けてしまった。
だから
雅紀とももう会うこともできなくなってしまった。
おいらは毎日浜に出て、
雅紀と出会った砂浜で海を眺める。
もう、ほんとにおまえと会うことはできないのか?
この海の底のどこかに今も竜宮城はあるのか?
それも
まぼろしだったのか、な
雅紀、またここに来てよ。ねぇ。
雅紀、ここに、これるんだろ?
俺、ひとりぼっちなんだよ。
夜になると、夜空を見上げる。
夜空の星は今も変わらず瞬いていて、
でも俺の横に翔君はいない。
星のない夜も
いない。
翔君が、いないんだ。どこにも、いないんだ。
俺は、ひとりぼっちなんだよ。
ただ、翔君に会いたい。
それだけなんだよ。
あの頃、一緒に空を見上げていたのに。
俺の指は翔君を探したままで俺の手でしかないんだ。
翔君と握りあって重なったふうになることがないんだ。
心まで
からっぽで。
あの頃を取り戻せるんなら
翔君を
二度と離れないように大事に愛すのに。
翔君と生きた日々。
ただ翔君といた日々。
たぶん
俺のすべてが翔君のそばにあった。
それが当たり前だと思ってたのに。
当たり前じゃ、なかったんだ。
逆に、
あの頃のまま時を止めていられたら。
翔君はどこかで生きているんだろうか?
またふたたび会うことができるんだろうか?
ただ翔君に会いたい。
全部受け止めて生きる。
そう、思ってみてもまだ慣れることなんかできない。
翔君が住んでた家を、俺は見ないようにしてる。
最初は何度も何度も、帰ってきてるんじゃないか、て見に行ったけど、
いまはもう、
俺がたえられなくて、下を向いて通り過ぎる。
だって、ここも、あそこもどの場所にも笑顔が溢れていたんだ。
流れる音や香りだけでもあの頃を映し出してこんなにも苦しい。
進めないんだ。
かじかんだ手。
表情を緩められる瞬間なんて、ない。
翔君に会いたい。
俺は今日もただひたすら土を捏ねる。
もう、漁に出ることもできなくなっちまったから、
こもって、毎日毎日土を捏ねる。
家と作業小屋の往復の日々。
じぶんの食う分だけ、魚釣りに出かけたり、
土を耕して食うモンを育てる。
誰も俺のことを知らないから誰とも話しもしない。
そんな毎日。
当てのない日々はただ過ぎて
あの頃が一秒ごとに離れていってしまう。
もう戻れない日々がこんな風に過ぎ去ってくんだ。
翔君に会いたい。
俺はずっと未来なんて、言葉自体からして存在しなかった。
何も考えず。
心はからっぽなまま。
寝る前、
そろっと封印を解くように
翔君のことを思い浮かべて涙を流す。
手を、こうやって伸ばしてみても、何にも触れない。
翔君に会いたい。
今日も景色は灰色なままで俺はただそこにいる。
何も描けない。
翔君はどっかで生きてるのか?
帰ってくること、あったりするのか?
・・・翔君はあったかかったな。
ここから祈ってる。・・・・何を?
ただ、翔君に会いたい。
おいらは薄っぺらな布団で寒さを堪えながら考える。
翔君、ごめん。俺、帰ってこなくって。
雅紀、ごめん。置いてきちまって。
あの頃は
楽しかったな。
みんないて、楽しかったな・・・
あ。
虹、だ。
きれいだな。
すごく、きれいだ。
こんなに、きれいなんだ。
もしかしたら
翔君が
虹に姿を変えて俺に会いに来てくれたのかも。
空なんか久しぶりに見た気がする。
ずっと俺、うつむいていたんだな。
これからも、翔君と歩いた道を歩いてみよう。
あったかくなったら、海で潜ってみよう。
そんな深くまで潜れないかもしれないけど、
あの時と同じきれいな景色が見れるかもしれない。
魚とかいっぱい泳いでて。
亀も泳いでいるかもしれない。
そうだ。
手足をいっぱいに広げて泳ぐんだ。
そうだ。俺はこれからも顔をあげて
土を捏ねて、畑を耕して生きていこう。
今はまだ灰色の日々だけど目を開いていれば
光を見つけることができるかもしれない。
虹を見つけられたように。
そう
光が暗闇をそっと照らし出して
消えない痛みさえかき消すみたいに
ちいさくても目の前に光があるかもしれないじゃないか。
海の中から見上げる光のように
そこまでまぶしいほどの光じゃなくても
なにかしら光があるかもしれないじゃないか。
いつかもしかしたら翔君と会えるかもしれないじゃないか。
翔君がもし、もういなくても、
翔君の子孫とかに会えるかもしれないじゃないか。
ただ心を失って生きてきたけれど
これからは・・・
毎日がただ過ぎていたようなもんだったけれど、
少しずつ変化はしている。
村人に、俺が作った器をもらってくれるようになった。
少しずつ話をするようにもなった。
俺はここで、生きていくんだ。
翔君と暮らしたこの村で。
翔君との思い出があるこの村で。
ひとりで、もう変わることのない過去を嘆いて生きてくんじゃなくて
光はどんな時もきっとあるはず。
目をそらさないように、目を凝らして、
光を。
光が
あの頃目指してた明日を今もずっと照らしているんじゃないか。
つぶれそうなその時には
ずっとつないできたその手は嘘じゃないってこと思い出して。
戻れるはずもない日だけどだからこそ愛おしい。
明日はまた俺を待っている。
過去をそっと抱きしめるよ。
光射す方へ。今は見えなくても。
ほんとは
ほんとは
時間とか距離とかなんもかんも飛び越えて翔君を探したい。
だから
翔君への想いを込めて生きていく。
共に過ごしたふたりの記憶がずっと輝いていられるように。
そして
いつか虹の橋で、巡り逢えたら。
そして誰かと・・・あなたと
同じ夢を見ることができたなら。
きっとそう
同じ夢を今も見ているんだ。
そうだろ?
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Hope in the darkness
君もここに来るのかい?
生きて行こうか すべて受け止め
大地にそっと咲いた花のように美しく
今 夜が明けて行く 聞こえるか?
導かれていく 目指すべき場所へ
光と影 反比例
馴染むことなく絶え間なく 揺れて
新しい風の薫りがした 海の向こう
加減知らずの情熱だけを 信じたなら
突き抜けるのさ 目指すべき場所へ
素晴らしき明日へ 素晴らしき明日へ
満天の星のように 生まれた神秘
不思議な力 点し 闇の彼方 辿り
無限の扉 開き 未開拓な道を 駆け抜けてゆけ
目指すべき場所へ 素晴らしき明日へ
I'm looking for my brand new world
素晴らしき明日へ
素晴らしき明日へ
(妄想:うらしまたろう おわり~)
:参考:
Pray
光
Tears
Still
いつまでも
君のうた
:転載:
Hope in the darkness
No.589|小説|Comment(0)|Trackback