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裏ケロ

日記とかつぶやきとかこだわり話とか~

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2025/06/19(Thu)22:43

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鍵のかかった部屋

2020/05/17(Sun)16:22

こんにちは。
書いてみましたよー
えのもとけい、だとどんな風なんでしょうね?
その点がひとによりけりで意見が分かれるところだろうと思います。
なので・・・
まぁ・・・・

とりあえず読んでみてや~
楽しんでもらえたらいいけども~


拍手[6回]





(妄想:鍵の掛かった部屋 編)

--------------------------------------
第3話
プロ棋士、竹脇がホテルの一室で殺害されていた。
竹脇が最後に会ったのが弁護士、芹沢であったため、彼は事情徴収されることに。
そのため、彼の部下、青砥と大野演じる榎本が今回の事件の真相を探ることになっ


た。
現場はドアにチェーンがかけられていたことから密室で、竹脇はドア近くに倒れて


いた。
将棋界の人々に事情を聞いて回るが、その中の一人、中野秀哉四段が今回の相手。


中野を演じる忍成修吾はドラマ魔王にも出ていて、
刑事さんのお兄さんに毒殺されるチャラ男役でした。
--------------------------------------


「竹脇が殺されたことでますます注目されちゃったな
 竜王戦で八連覇を成し遂げたっていうのに毒島薫竜王がすっかりかすんじゃって
 かわいそうなぐらいだ」


そう言った中野秀哉四段(忍成修吾)は


「俺が殺したんじゃないっすよ」


と切り出し、竹脇が携帯を持っていたことを明かした。


 


 


「そうそう、榎本さん、でしたっけ?
 密室を破るプロ、なんですってね?」


「・・・僕に何か?」


「いやー密室って聞いてさ
 ちょっと見てもらいたいものがあって」


「見てもらいたいもの・・・ですか」


そう中野さんは切り出し僕を連れ出した。


「ここは・・・」


「そう、あの竹脇の殺害現場となったホテル、だよね」


「なぜ、ここに・・・・」


「さすがにあの部屋は取れなかったけど
 まぁ、どの部屋だって別にいいよね」


「見せたいものというのはここと何か関係があるんですか」


「まぁまぁ、そうせかさなくっても
 今回の謎解きの助けになるかもって思ってさ」


「助け・・・・」


カチャリ


「そう。こうしてアンタを同じ部屋じゃないけど
 同じホテルの部屋に呼び出して俺は鍵を掛けた
 で
 ここでこれから俺はアンタを犯す。
 俺はそれで鍵を持ち出し
 鍵を掛けて出て行く
 それで犯されたことを苦にアンタは自殺するってわけ
 な?
 密室を解く助けになりそうじゃない?」


「・・・・確かにそれはそうかもしれませんが
 そもそも僕は、そんなことを苦に自殺したりはしませんから
 参考になるとも思えませんね」


「そんなこと、ねぇ
 まぁ、生ぬるすぎるとそうかもしれないけど
 もう、生きてくのもイヤだっていうほど、だったらどうかな?」


「・・・・」


「アンタ見てるとめちゃめちゃにしてやりたくなるんだよね
 処女ってかぶっちゃけ童貞だろ?
 だからいい機会だと思って
 お互い得するわけだから、最高でしょ?」
「僕が童貞かどうかなんて今関係ないでしょう
 それにそんなことが最高とは僕には思えませんが」


「まぁまぁまぁ、とりあえずさ、ほら、この部屋
 間取りとか同じなんでしょ?」


「ええ、全く同じです
 それより僕が童貞かどうかなんか
「でー・・・死んでた竹脇さんは、この辺に寝転がってたんでしょ?」


「ええ、そうです。ドアのすぐそばに頭、でした
 それより僕が童貞かどうかんか
「え?ドア開けたらぶつかっちまわねぇの?」


「それが
 ・・・ギリギリ当たらない位置だったんです」


「当たらない?え?どういうことかな。
 ちょっとさ、榎本君どんな感じだったか
 寝転がってみてもらってい?」


「わかりました」


榎本は俺がさっきまで犯すのなんのと言ってたことはすっかり忘れちまったみたい



犯すと言ってた俺の足下に変に機械的な動きで寝転がった。
どうですか?とかこんな感じです、とか俺に伺うように俺を見上げるでなし
マネキンみたいにただ寝転がり、動かない。・・・・変なヤツだな。


俺はとりあえず、聞いたとおりチェーンを掛けてドアを開けてみる。ガチャリ。
ここは例の事件があった部屋じゃねぇから、
警察がやった、竹脇が転がってた位置を示すマークもない。
それでもスムースに開いたドアはキッチリ榎本君に当たらなかった。
知っていたからか、俺の開けた勢いに驚く様子もなく、
そのままマネキン状態でまばたきすらせずまさしく微動だにしなかった。
フツーさ、もっと・・・このチャンスに逃げようとか考えねぇのかな?
とかさ、俺がチェーンとか掛けたら、あっやられた、とかって思うんじゃねぇの?
「ふぅん・・・サンキュ」
「いえ」


榎本はまたロボットみたいにって言やいいのかな?
とにかく反動も少なく妙にすくっと立ち上がった。


もう俺をまっすぐに疑いもない、が
何かを見透かしてるみたいな目で見てくる。
犯すてのがはったりだと思ってるのか。


「・・・このチェーンだろ?密室にしちまってんの」


「ええ、ですね」


「だよなぁ」


俺は不思議そうな顔をつくってチェーンを外してしげしげ眺める。


 


 


バァン!


いきなり思い切りひっぱたいてやったら、榎本は身構えてなかったし
普段運動していないのか、軽そうでもあったし、
簡単に吹っ飛んだ。
眼鏡も一緒に顔から飛んじまったけど
眼鏡にチェーンがついてたせいで首回りできれいに弧を描いて飛び、
先に床に倒れた榎本の身体の横に落ちた。
さっき竹脇の死体を真似て見せたときと同じに、また床に転がった。
俺はそれを拾って
倒れた榎本の上に馬乗りになり
眉間に少し皺を寄せ、口を引き結んで打たれた頬に手をやり
ほぼ無表情で
どこを見ているのかわからない目をしてる榎本の
その顔に、きちんと眼鏡をかけてやった。


「何するんですか」


口の端が切れて血がにじんでいるのを拭おうともせず
まだ淡々とした声で、おびえた風もなく
またそれほど責めるようでもなく俺に言う。


「フン」


簡単にゃ白旗あげねぇか。
そもそもなんで、転がったままなのか。
逃げようとなぜしない。


俺はケツの下、榎本の身体の異物感に気づき、手探りで
榎本のズボンのポケットを探り、それを取り出してみる。


「あーコイツね、初めに会ったときあんた挿してたよな?しろよ」


俺は榎本の耳に、イヤフォンを突っ込む。


「じゃーやろっか」
「結構です、やめてください」


相変わらず俺の下で、マネキンみたいに寝転がったまんま
全く暴れるどころか手も足も動かさない。
どういうつもりなんだかね。
でもまぁ、犯せばそれ、さすがに崩れんだろ?
い~ねぇ、そいつが楽しみだよ。


暴れないならと
俺は榎本の身体の上で、向きを変えて
榎本の顔の方にケツを向けて座り直す。
やめてください、と淡々と繰り返し告げるだけの榎本を無視し
ベルトをぐいと引っ張り外す。
ちっとは抵抗してくれないと犯してる楽しみがねぇけど
まーいつかは、するだろ。


チャックをだからことさらゆっくり下ろす。
これから起こることをじわじわ知らしめるように。
榎本からは俺のケツや背中に手が届くはずなのに
他人に触るのがどうしたってイヤみたいに
床に手を置いたまんまだ。
人よりモノ・・・鍵、か?・・の方がおまえの対象なのか?
ハハハ、そうならほんと病気だな。


「ふーん、セキュリティ会社に勤めてるつってたよね?
 儲かるの?
 結構ブランド志向なんだねぇ」
「いえ、そういうわけでは」


ぴっちりと榎本の細い体を覆っている有名ブランドのパンツのゴムをつまんで言っ


てやったが、
榎本の態度は変わることなく聞かれたことに淡々と答える。
この体勢じゃ脱がしにくかったが
榎本が尻を持ち上げてくれるはずもなく、
とりあえず前だけ引っ張ってズリ下ろす。


「あれ?あれれ?榎本君、どこにも鍵ついてないの?
 あんたみたいな奴ってどこでも鍵なんじゃないの?
 っかしーなー
 てっきりさ、貞操帯みたいなのつけてると思ったんだけどな」
「やめてください、そんなことしません」


「おっかしいなぁ
 ちんぽじゃなく穴に鍵挿してんのかなぁ?」


ぐいぐい榎本のパンツのゴムを下に引っ張る。


「やめてください、そんなこと、しません」


榎本のちんこが俺に晒されても微動だにしない。
ほんと変なヤツ。
ちょっとつまんで左右に振ってみる。
「やめてください。そんなとこ触らないでください」


懇願ならもっと感情込めて言うもんだろ?
なんでいまだ淡々としてるんだか。


全くどうもちゃんとした抵抗をする気もなさそうなんで
榎本から降りてーそれでも彼は動かないー榎本の足下へ移動して、
靴をぐいと脱がせ、それを放り投げる。
力任せにズボンを引きずり下ろす。
完全にマネキンを相手にしているようだ。
まっすぐに伸びてる足。
俺がする動作に筋肉の硬直ひとつした様子もない。
視線すらこちらに向けやしない。


「へ~」
「やめてください、そんなことしたって意味が無いですよ」
「意味が無いかは俺が決めるさ」


どこだ?何をすれば榎本は反応をする?
俺は多少焦りを感じながら、
それでも挿入しちまえばこっちのものだろうと言い聞かせ、
パンツをズリ下ろす。
一気に引いてぐいぐい引っ張り足から抜く、といっぺんにはできないのに、
榎本は動かなかった。
性器が晒されたのに反応しなかった。
コイツはマジでおかしいのかもな。


「俺の指ってさぁ、商売道具つうか、コレで生きてるからさ
 あんたのケツに使えないんだけど・・・
 あー扇子があったか。いいよね、コイツでグリグリしてみよっか」


「やめてください」


お人形のような榎本の足を抱え上げ、現れたそこに扇子を当てる。
それでも筋肉が強ばらない。
なら、とぐい、と押し入れる。


「グッ」


痛みを感じないというわけじゃないようだ。
大声とは言えないが、うめき声を漏らした。
まわりの皮膚を引っ張って、扇子をぐいぐい押す。


「んーやっぱ扇子じゃ簡単に入んねぇな
 ま、でもないよりゃましか」


「ウぐぅ・・・やめて、ください」


いきなり扇子の先端を入れようにも
穴が押されるままにへこむばっかりで
ただ押すだけじゃ入りそうにない。
指は使いたくないと言ったものの
ぐい、と穴のちょっと上んとこから押して広げるようにして
ラバー製のなんかのキャップとかパッキンみたいな風に
形が沿うようにできてはいるものの、
初めのうちは簡単には覆い被せるのが難しい固さみたいに
やわらかい皮膚のくせに伸びない。
穴の入り口ではあるけど、穴の空洞自体は見えない。


「ウぐぅ」


扇子の、扇の側じゃなく、持ち手側、要側のほうが丸いんで
そっちを先に突っ込むことにした。


「ウウ」


「おー入る入る!榎本君!入るね!」


「やめ・・・ぐっ!」


入るままにねじ込む。入れては扇子を素早くひねる。
さすがに痛いとみえて、俺が抱える脚が硬直している。


「そんなことして、何になるっていうんですか」


苦しそうな声音で抗議を漏らす榎本。
額に汗が浮いている。そりゃー苦しいよなあ。
こんなもん、突っ込まれてんだから。


「どう?辛い?辛いか?榎本君、楽しんでる?なぁ
 やっぱ扇子っていいだろ?なぁ、いいだろ?」
「痛いに、決まってるじゃないですか
 こんなことして楽しいだなんて、中野さんは変人です」
「あんたに言われたくねぇよ、同類のくせに」
「ちがいま、ウゥ!」


俺は榎本の顔を見ながら、ぐい、ぐい、ぐいとねじ込み
グリリ、グリリ、と回転する。
榎本の床に着いた手は、最初ぱた、と置いただけだったのが
痛みに耐えて床を爪でひっかくようなそんなカタチになっている。


「さーもうこっちからでも入っかな?
 プレゼントだよ~貴重な扇子だからね」
「いりませ、ウ“ーッ」
和紙の付いた扇の方を握りグリグリねじ込む。
あーやっぱ持ち手側の方が楽にうまいこと突っ込めるんだな。
でも
師匠が文字書いた方を突っ込むほうがやっぱ笑える。
そっちをケツに突っ込むほうが次に師匠に会った時
いい気分になれそうだから。
俺はそっちを和紙がケツでぐしゃぐしゃになっちまってんのを
最高に楽しい気分で
グリグリ穴を押し広げるようにねじ込む。


榎本は俺の無理矢理押し込む力で身体が浮いた、という風に、
でも痛みでだろう、背中を弓なりにしている。
床に爪を立ててるような手、血管の浮く手の甲、
榎本のケツには扇子が扇の方が突っ込まれてる。
榎本のケツは簡単には広がらなくて、
ほんとは扇子を開いてパチンと鳴らしたかったけど
それは叶わなそうだ。


「榎本君さ、俺んとこに刑事、来たけど
 あんたも会ったことあるんでしょ?
 あの男・・・ピーナッツずっと食ってたけど
 あんたも、ケツにピーナッツ、入れられたりしてんの?」


「そんなわけ・・・ないでしょう」


「へぇ?そう?好きそうなのに」


「好きなわけ、ないでしょう」


「あんた、どうもそんな感じだよね
 なんかを吸い取ってるみたいな?
 俺、勘はいいんだけどなぁ
 ね、
 ピーナッツもいいだろうけど、将棋の駒も、よさそうだよね」


「やめてください」


「あんた、喜びそうだよね」


「やめてください喜んだりなんかしません」


「やったげるやったげるよ、俺の大事な大事な駒、入れよっか」


「やめてください」


ずるん、と扇子を抜く。
「ウウ」
ツルツルしたものじゃないから扇子ってのは、
和紙もそうだし、竹がね、曲がったりもしないしね。
抜くだけでも相当なえぐられ感、あったでしょ?
ねぇ、榎本君。


俺の駒を取り出して眺める。
どの駒からがいいかな。
俺は榎本の顔の横にじゃら、と駒を一山置いてやる。
さぁ、何個入れようか。


榎本の顔の横に積んだ駒に指を這わせ一つ取る。
榎本が視線を向けなくても視界の隅で見えるだろう。
相変わらずガラスみたいな目だ。
感情が全く感じられない。
駒は真四角じゃなく、先の尖った五角形だから一応入れやすい。
でも、やっぱ指で摘まんだ駒がケツに入っていく様子は
俺をめちゃめちゃ昂ぶらせる。
あぁ、イッコ、消えた。
ほんのわずか、榎本の眉間に皺が寄る。
俺ははち切れそうになる。
さあ、次の一手だ。
盤上でするりと駒を将棋盤の上を滑らすように
ケツにもうひとつ差し入れる。
あぁ・・・前に入れた駒に当たった。
たまんねぇ。


 


「それじゃートーキョーソーゴーセキュリティの社員宅に
 入りますー」


「やめてくださ・・・ぐっ!」


「侵入~~~」


「ウウウ」


「榎本城が破られました~」


「や・・・めて・・・くだ・・・ウウウ」


「トーキョーソーゴーセキュリティさぁん~
 いいんですかぁ~?
 防犯がなってないんじゃーないんですかぁ~?」


「・・・やめ、て、くださ、い」


「こりゃーSNSに拡散しないとダメじゃねぇ?
 容易に入れちまうってぇ~」


「やめ・・て・・・」


 


「あああ、い~わ、すげーいい
 俺はーナカに駒入れねぇと感じない
 あいつはピーナッツ入れねぇと感じない」


「やめ・・・て」


「おまえはー南京錠とか入れねぇと感じないのかー?」


「そん・・な・・・こと・・・ありま ウグゥ!」


「ウソだろ?おまえはなんかっ鍵っとかっ
 入れねぇとっダメなんだっろっ?
 俺はわかるよっ
 おまえはそーゆー趣向の鍵好きだってな」


「う・・・僕っ・・は・・ちが」


「まぁだ余裕あんの-?
 ねぇ、駒、増やすー?
 それとも扇子と二輪刺しする~?」


「やめ・・て・・・


俺はさっき使った扇子を取り出し、
榎本の足を抱え込むようにして
俺との隙間を探る。
いい扇子だからさ、手で持ってもささくれだってて刺さるってことないけど
木は堅いから、俺のちんぽが痛そうだよね。
俺のちんぽが抜けてしまわないようにゆーくり抜いてって
けど榎本が急に動いて抜けてしまわないように
太ももの裏をしっかり持って
で、当ててみる。
右手で扇子を握り込み、その指で穴をさらに広げようと押す。
俺のちんぽが精一杯とばかりにきっちきちでとても入りそうにない
俺のちんぽに当たんないように気をつけながら
扇子の先端で押し広げるようにねじ込む。


「ウ”ウ”ーッ!」


「はぁぁ、あんたの好きな、この鍵穴、侵入を阻むねー?」


両方の耳に刺さっているイヤフォンの左側を取って
俺の左耳に差し込む。
そのほうが、そうやって同じ音を聞きながらヤるほうが
楽しいよね、お互いに。


「安心の~トーキョーソーゴーセキュリティ~」


「や、めて・・・くださ、い」


明滅
振動
ふりこ
らせん
時計
暗転


暗渠(あんきょ)に流れる水
循環
ひっくり返る
上が下に 下が上に
表が裏に 裏が表に


点・・・線・・・点
時計
乱数
ザーザーテレビの砂嵐の音
隠されてる
何か・・・


手を伸ばす
掴もうとする
するりと逃げる


頭の中に途切れ途切れにシーンが浮かんでは消える
入れ替わり立ち替わり
浮かんでは消え、浮かんでは消える


あれは何だ
あれは誰だ


振り向く男
僕を探る


幼い僕
痛み
閉じ込められている
カビの匂い
暗闇
空腹
父という名の男
この暗闇の箱から出なければ死んでしまう


扉を開けて光を・・・
ここは光が差さない
いくつも掛かった鍵
指を動かす
指を動かす
・・・
あれは何だ
あれは誰だ


砂嵐
時計
乱数
振り子


チェーン
碁盤、駒
存在していた携帯電話
倒れていた位置
来栖さん
来栖さんといた女性
駒の配置
来栖さんが取った駒・・・
像が結びそうで結べない
痛みがそれを阻み
強い痛みがインスピレーションを引き起こす
目を強く閉じて指をすりあわす
ドアが現れる
ドアが開く
痛みが結びそうになる像をかき消してしまう
強い痛みでまた像が現れる
鏡のように反転した像
時間がむちゃくちゃになる
逆に回る時計の針
像が溶ける
指をすりあわす
中野さんが何か言う
やめてください、と僕は言う
駒が僕に何か言う
ピックで鍵穴を探るように
指をすりあわす
それは神経の集中が必要であると同時に
深い瞑想状態でもある
もうひとりの僕
顔を出し始める
微笑むもうひとりの僕
痛みにもうひとりの僕があざ笑う
僕をかき消そうとする
僕までバラバラになりそうだ
僕が消滅してしまう
イヤフォンから聞こえる乱数が舞う
チカチカまぶたの裏で光る残像のようなもの
目を閉じているのに
目を大きく見開いているような錯覚
明滅
意識が混濁する
暗闇の中で残像が繰り返し立ち現れて
僕の土台が崩れ落ちる
痛み
裂けるような痛み
衝動
僕は今熱いのか、ひどく冷めているのか
どちらが僕でどちらがもうひとりの僕なのか
境界があいまいになる
暗闇
乱数
中野さんの声が遠くから降ってくる
それは、夢の中なのか
全身を引き裂くような痛みが僕を襲う
過去
幼い僕
痛みが光りになる
痛みは快楽なのか
耐えがたいほどの苦痛
僕は閉じ込められている。狭い箱のように狭い中に。
カビの匂い
ここは広い空間なのか。盤上の宇宙のように。
ドアが開く
その向こうにあるものは何


またドアだ
開いて向こう側に行ってもまた僕は閉じ込められる。
僕はどちらの僕なのか
あざ笑う
鏡に映る僕は誰なのか
僕が映っているほうなのか
暗闇
僕は自由なのか
手足は、動くのか
縛られて、いるのか
鋭い痛みで光の粒がまぶたに広がる
思考が真っ白になる
徐々に降りてくるマトリックスの暗闇
パズルのピースのように降り注ぐいくつものシーン
繰り返す
時間が解ける
僕が解ける
僕は物体なのか
破れる
ちぎれる
包括する
集約する
・・・


「やめてください」


僕の声らしき音が遠くから聞こえる
発しているのは僕なのか
どちらの僕なのか
深く深く暗闇の中に沈んでいくようで
高く高くまぶしい光に向かって引き上げられているようで


痛みで僕は崩壊する
小さな小さな断片に引き裂かれていく
断片は鏡でシーンが移ってる
断片の違う側面には笑う僕が映る
笑う僕
カチャカチャ、鍵にピックを差し込んでいる音がする
夢中で指をすりあわす
君は誰なのか


「ああ、いいよ、すげーいい
 さすがにセキュリティー万全の城は違うねぇ
 征服感が違うよ
 さぁて、イかせてもらおうか、榎本君」


「やめっア”ア”ッウウッグッ」


中野さんが何か言う
僕の意識を一方向に引っ張る
小さな断片が点に向かって吸い寄せられる
より激しく指をすりあわす
オーダー
秩序が並んでいく感覚
嵌まる
鍵が、開く
ドアが、開く
・・・


「かけてやるよ、
 おまえの大事な商売道具に」
「っ結構です」
「さあ、出すよ」
「いりません」


中野さんが大声で宣言し、
ふいに僕の右手が取られ、
握らされ
僕の右手は白濁にまみれさせられた


イメージは
分散した
砕け散る
僕が粉砕する
僕が僕でなくなる
何も、残らない


「おまえっ最後まで“やめて”しか言わなかったな」


 


 


 


「・・おい、電話鳴ってるぞ」
「・・・」


俺の声掛けにも無反応の榎本に代わり
俺は榎本の携帯を拾い上げる。
榎本はぼんやり俺に視線を向けてきたが声は出さない。


「青砥?・・・ああ、あん時榎本君と一緒にいた女か」


声にならず身体も思うように動かせず榎本は俺を阻止しようとしてか
もぞもぞ動く
俺はそんな滑稽にもがく榎本を笑いながら通話ボタンを押す。


『もしもし?もしもし?榎本さん?青砥です。今から会えませんか?
 ちょっと話したいことがあって・・・・もしもし?もしもし榎本さん?
 聞こえてますか?今どこにいるんですか?』


「どこにいるのかって聞いてるぞ?」


女の声はバカでかく俺が言わずとも内容は榎本の耳に届いているはずだ。
俺が笑いながら榎本にささやくと、いやいやというように首をわずかに振る。


「・・・榎本君はさー例のホテルにいるよ」


『えっ?あなた、一体誰ですか?榎本さんは?榎本さんはそこにいるんですか?』


「あーいるいる。ここに。
 ちょっと事情があって今ちょっとしゃべれないみたいだからさ
 俺が代わってやってんだけどさ
 あ、部屋番号も知りたい?」


『はいっ!すぐ行きますから!
 事情ってしゃべれないって榎本さん、大丈夫なんですか?』


「さー自分の目で確かめて見れば?えっとねー
 部屋は例の部屋の隣なんだけど・・・
 ああ、603号室。じゃ」


俺はそれだけ言ってまだわめきちらしている声は無視して通話を切り
榎本のそばに放り投げた。


「じゃ、榎本君。俺は帰るから。
 あんたの中の駒はプレゼントしてやるから。
 あ、そうだ。最後に俺にできる協力がもうひとつあったね。
 鍵。
 これこれ。
 これ、かけて、それで持って帰ればいいんだっけ?
 ・・・榎本君のことは殺さなくっていいんだよね?
 自分でやれるよね?じゃあ、そういうことで」


「あなたは」
「ああ?」
「あなたは、そうやっていつも誰かを犠牲にすることで
 満たされる、そういう風に生きてきたんでしょう」
「何だいきなり」
「人を壊すように、暴力的に扱うことでしか
 あなたはおそらく、コミュニケーションがとれない
 “やめてください”としか答えない僕に対してあなたは、
 さらに、さらにと単純な方法での攻撃を加えていく方法しか知らない
 違いますか?」


「・・・・それで?」


「あなたの対局を実際に見たことはありませんが、推測することはできます。
 頭のいいあなたのことだから、読みも良く、研究も深いのでしょうが、
 きっと
 僕に対してやったのと同じように、ただ攻撃的で鋭いものなのでしょう。
 ただ、直線的な指し手が多く、
 あまり長考することを嫌い、敵陣を一気に攻め潰す棋風を好み、
 しかも激しい戦形を得意とするあまり
 指し手のバリエーションが限られてしまうタイプだと思います。
 ですからそうでない対局、
 相手もまた同じ戦法を取ってくるようであったり、
 深く読んで柔軟な対応ができるタイプや持久戦に持ち込むタイプの場合の
 応手は、苦手なのではないでしょうか。
 つまり今以上、
 4段以上になっていくことは、難しいでしょうね
 すでに苦戦を強いられているのではないでしょうか?」


「ふん・・・ま、あんたの言うように
 俺が苦戦してるっつぅのは、当たってるけどさ、
 虫の息でそんな風に言われてもなぁ
 おまえだって、俺にされるがまましかできなかったじゃないか?」


相手を打ち負かしてやった気分、すがすがしかった気分から
いきなり現実を突きつけられたようで俺は動揺した。
ただの人形でしかなかったくせに、
俺に屈服するしかなかったくせに。
おまえこそどうなんだよ?
俺のことどうこう難癖つけるしかないくらい、
セキュリティの甘さが露呈し、突きつけられて
大損害を被るって感じでさ、
ただ一方的にやられたもんだから悔しくてしょうがないんだろう?
プライド高そうだもんな、あんた
それをずたずたに引き裂かれちまって泣きたいくらいなんじゃないの?


そう思い、部屋を出ようとした。
閉まっていくドアの隙間から榎本が見える。
榎本は


笑っていた。


 


 


 


青砥さんがここに来る。


中野さんが鍵をかけて持ち帰ったところで
ホテルにはマスターキーがある。
青砥さんはさっきの通話の様子から僕の身に何かが起こったと考えて
マスターキーでこの部屋を開けようとするはず・・・


こんな姿
見られるわけにはいかない。
・・・・・


そうだ・・・
      “チェーン”


僕はありったけの力を振り絞って上体を起こし、なんとかドアチェーンをかけるこ


とに成功した。
それでもう力尽きてしまって
僕は意識を失ってしまったらしい。


 


 


「榎本さん!榎本さん!?
 開けてください!大丈夫ですか?榎本さん!!」


扉を叩く音がする。
ここは、どこだ
かび臭いあそことはちがう、気がする
僕の名を呼ぶ声がする 何度も
あの大声は・・・青砥さん
そうか
ここはホテルで
僕は眠っていたみたいだ。


「いまっ開けますからっ!」


その声と同時にガチャガチャと鍵が差し込まれる音
そして解錠される音


「榎本さんっ!開けますよ?
 榎本さんっ!大丈夫ですか?青砥ですっ!榎本さんっ?」


青砥さんの声とともにドアが開かれる。
僕はチェーンをかけてそのままずるずると倒れこんだものだから
ドアに身体が接している。
すぐには開かない。
青砥さんがホテルの従業員に協力を呼びかける声がして
僕の身体ごと押し開こうとしはじめた。


僕の身体が扉に押されて動く。


・・・そしてチェーンによってドアは動きを止めた。


「榎本さんっ?ちょっと榎本さん?どうしたんですか?榎本さんっ?
 何でそんなところに倒れているんです?」


 


 


例の密室事件と同じようにドアにはチェーンがかかっていて
そのせいでドアは少ししか開かなかった。
やけにドアが重かったのはドア近くに榎本さんが転がっていたせいだったようだ。
ドアの隙間から榎本さんの頭が見える。
これではあの事件と同じではないか。
それに、いつもかけている眼鏡が頭の手前に・・・


私の声掛けにも全く応えてくれなくて
横にいるホテルマンに救急車を頼もうと思ったそのとき―


榎本さんの手がドアの隙間から見えた。
謎を解くときにいつもする、指をすりあわせる動き・・・
榎本さん・・・


 


カチリ、カチャン


榎本さんの手が、密室が解けたことを表す動きをした。


「そうか・・・・そういう、こと、だったのか」


その声は掠れていつもより小さかったけど、確かにそう聞こえた。


「榎本さん!もしかして――わかったんですか?」


「はい・・・密室は・・・破れました」


「教えてください。
 犯人はどうやってドアにチェーンをかけたんですか?榎本さん!
 あの、私・・・」


「・・・すみませんが、明日、ご説明します」


「それより大丈夫なんですか?
 救急車とか・・・・とにかく開けて!開けてくださいっ!」


「大丈夫、です」


「大丈夫って・・・だって全然動かないじゃないですか
 榎本さん!?開けてください!
 私手を貸しますからっ!」


「大丈夫です
 ・・・では僕はこれで」


僕はそう言って、全身に力をこめて転がり、
青砥さんの視界に入らないよう気をつけて、
体当たりで開けようとする青砥さんに負けないようにして、
なんとか戸を閉めた。
ずっと僕の名を叫んでいた声が、それで小さくなった。
僕は、戸にもたれかかるようにして立ち上がり、
チェーンが簡単に開けられることがないかもう一度確かめてから、
さらにホテルの人間が青砥さんに頼まれて開けることがないよう
簡単な仕掛けを施した。
そしてメガネをかけ直し、
そのまま重く、汚れた身体をひこずって
ドアから離れ浴室へ向かった。


 


疲れた・・・
セックスなんか疲れるだけだ。
僕には理解できない。
でも、
今回、
中野さんには感心させられたな。
彼のおかげで密室の謎は解けたし
それに・・・


僕はそんなことで自殺なんかしないと言ったのに
あのくらい、楽勝だ。
生きてくのもイヤになるほどってのはあんなもんじゃない。
そもそも彼は惜しいところまでいったけれど
僕の“鍵”にはたどり着けなかった。
あの時、僕の身体をもっと探ればよかったのに。


“鍵”をかけようか


榎本はニヤリと笑って浴槽の戸をパタンと閉め消える。
エンディング曲Face Downがかかる。


(妄想:鍵の掛かった部屋 編 おわりー)


 

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